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Archive for 3月 2014

【音楽療法コース】音楽療法士たちの活躍~音楽療法コース卒業生~









  1日のスケジュール:
7:00
起床
8:10
家を出る
8:50
出社。機能訓練室ミーティング(理学療法士・作業療法士・音楽療法士・事務員)参加。スケジュール確認
9:10
介護老人保健施設リゾートヒルやわらぎ(以下老健)カンファレンス(ケアマネを中心とした)参加
9:40
通所リハビリテーション(以下デイケア)のミーティング参加
10:00
個人音楽療法(2-3人)
12:00
昼食、休憩
13:00
グループ音楽療法 曜日毎に、精神デイケア・精神科作業療法と合同プログラム・老健・デイケア・グループホーム星の見える丘げいせい(以下グループホーム)のいずれか
15:00
デイケアカンファレンス参加
15:15
個人音楽療法(2人)
16:00
老健サービス担当者会(家族も)参加
17:00
反省会、片付け、記録、評価、退社
23:00
就寝

Q&A
Q 現在の仕事内容について教えてください。
A: 芸 西病院リハビリテーション部所属ですが、配属先は老健です。なので、私の直属の上司は作業療法士です。音楽療法士として法人内の老健、グループホーム、病 院精神科等、各部署からの依頼や、医師の指示により対応しています。老健では入所とデイケアの利用者様を対象に、精神科では精神療養病棟・精神科病棟・認 知症治療病棟・精神デイケアの患者様を対象に、個人・集団音楽療法をおこなっています。週1回、定期的かつ継続的に音楽療法を提供していますが、その日に依頼を受けることもあります。医師・看護師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・介護支援専門員・社会福祉士・介護福祉士等の専門家と連携を取りながら、音楽療法を実施しています。
Q 音楽療法を導入している施設は、まだまだ少ないと思いますが、現場の理解は得られていますか?
A: 現 場の理解はかなりあると思います。まず、音楽療法士の立場が、理学療法士・作業療法士と同等であることが大きいですね。皆、チーム医療の中の一専門家であ る音楽療法士として関わって下さいます。多職種の専門家と密に関わり連携を取りながら取組んでいるので、医療福祉に関する知識はかなり求められますが、そ れ以上に音楽療法士の立場が確立されていることは本当にありがたいです。
Q 音楽療法で使う楽器などは、どうしていますか?
A: 必要に応じて、その都度購入を考えます。高額な楽器になると、毎年予算を申請します。そういったことに関しても、現場の協力や環境が非常に良いのでありがたいです。
Q宮城さんが音楽療法に出会ったきっかけを教えてください。
A: 高校2年生の秋、「音楽に関する仕事をしたいけど何をする?」と進路に迷っていた時期がありまし
た。そんな中、地元である沖縄で音楽療法の講演を聞く機会がありました。子どもの音楽療法のビデオを
見たのですが、「音楽でこんなにも人の心を動かすことができるのか」と。「これだ!」と思いました。科学
的に意図的に音楽を提供しているビデオだったので、今でもよく覚えています。
Q宮城さんの生き方、人生について、音楽療法に出会ってからの「過去」・「現在」・「未来」を結んで語ってください
A: ―過去 
初めは地元沖縄で大学を探しましたが見つからず、できるだけ近く、そしてより多くの沖縄県人がいる大学を求めたところ、徳島文理大学を見つけました。姉妹校であるアメリカの大学からマイケル・ローバッカー先生が来られているというのも魅力的でしたね。
大学入学後は、正直3年生の途中まで、自分自身の中で音楽療法というものが掴めておらず、将来に対しても「就職どうしよう?音楽療法士?教員の道?沖縄へ帰りたい?」とふわふわしている状態でした。そんな中、転機は3年 生の後期。成人の知的障がい者グループを対象にした音楽療法実習です。コミュニティ音楽療法コンサートをおこなったのですが、コンサートが無事成功し、あ るクライアントのお母さんに話しかけられたことです。「うちの子供が、あんなに笑顔になったのを久しぶりに見た。ありがとう!」と泣きながら感謝されたん です。「これが音楽療法の醍醐味だ!」と強く感じましたね。その後、姉妹校であるシェナンドー大学を訪問する機会もあり、同じ音楽療法士を志しているアメ リカの学生と出会えたこともかなり大きかったです。それからは、音楽療法士として働いていくために一直線!ひたすらに、そして貪欲に勉強する毎日。4年次には心身障害を持つ子どもの療育施設で音楽療法インターンシップにも参加しました。
―現在 
本当にこの仕事で良かったと思う日々。好きなことで、やりたかったことで仕事ができていることに喜びを感じています。ただ、1年 目はすごく苦労しましたけどね。私が勤務する以前に、同じ徳島文理大学音楽療法コース卒業の先輩が務めていたのですが、その先輩が今の現場で音楽療法実施 の基盤を作ってくださっていたんです。それを引き継ぐ中で私のスタイルをどう出していくか、音楽療法をさらに定着させるにはどうすれば良いか、試行錯誤の 毎日。他の専門家だけでなく、家族の目線から音楽療法の評価を受けることもあるので、日々責任を感じるけれど、それはとてもありがたいことです。音楽療法 士という職業に就けて本当に良かったです。
今 この状態で働くことができるのも、大学の先生方のバックアップ、現場の職員の理解と協力があるからだと思っています。また卒業後も、母校の大学でローバッ カー先生の講義を受ける機会もありますし、高知県内で働いている音楽療法士が定期的に集まり、情報交換をしたりアイディアを共有したりする機会もありま す。そのような勉強できる環境や他の音楽療法士との関わり、地域での関わりを持てる環境にあることも非常にありがたいですね。
―未来 
今 後は、音楽療法の知名度がもっと高まるよう、臨床家として努めていくことが私の目標です。今の日本は、「音楽療法」という名前が一人歩きしているような状 態です。「何がセラピーであるのか?本当の意味での音楽療法とは?」臨床に出ている私を含めた音楽療法士が伝えるべきことであると思っています。働き始め て最初のうちは、正直自分のことで精一杯でした。でも最近、いい意味でゆとり・余裕を持って仕事ができるようになってきたので、臨床家として、音楽療法士 の卵である後輩達のことも考えるようになってきたんです。私達が音楽療法士として良いものを提供することで、音楽療法の認知へとつなげていきたいです。そ うすれば他の施設も「うちも音楽療法士を雇いたい」と思うかもしれないじゃないですか!大学の先生が「教育の現場」でということであれば、私達は「臨床の現場」で、ですね。音楽療法はまだまだこれからの分野なので、臨床で開拓していく仲間を増やし、臨床現場から音楽療法士のポストを作っていきたいと思っています。


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